私たちの体や身の回りの材料は、とても小さな世界でできています。 その大きさは「ナノメートル」と呼ばれ、髪の毛の太さの約10万分の1ほどです。このナノの世界では、ほんのわずかな違いが、物質の性質や生命のはたらきを大きく変えてしまいます。 ナノ化学研究室では、ナノの世界を正確に調べるための物質として、超高品質ナノダイヤモンドの研究を行っています。
ダイヤモンドは、とてもかたい宝石として知られていますが、実は光る性質も持っています。特に、ダイヤモンドの中にごくわずかに含まれる窒素原子と欠陥(空孔)が隣り合わせになった場合は、緑色の光を当てると赤い光を発します。私たちは、ダイヤモンドの中の不純物や構造を制御することで、これまでよりも正確に温度を測れる「超高品質ナノダイヤモンド」をつくる研究をしています。
超高品質ナノダイヤモンドは、単に光るだけでなく、温度や周囲の環境の変化を感じ取るナノサイズのセンサーとして使うことができます。たとえば、細胞の中で起こる小さな温度変化や、化学反応にともなう環境の変化を、ナノダイヤモンドを使って調べることができます。細胞の大きさは20マイクロメートル(髪の毛の1/5程度)、その中に入る温度計はありません。
ナノの世界では、「よい材料」をつくることが、そのまま「よい測定」につながります。ナノ化学研究室では、材料の合成や表面の工夫を通して、ナノダイヤモンドの力を最大限に引き出す化学を探っています。こうした研究は、生命科学、医療、環境計測など、さまざまな分野への応用が期待されています。
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